3Dプリンターによるシリコンゴム造形の特性と活用法
2025年01月08日
3Dプリンターによるシリコンゴム造形について
3Dプリンターによるシリコンゴムの造形は、発展してきている分野ということもあり、注目を集めています。こちらでは、そんなシリコンゴム造形の特性や3Dプリンターの技術について、紹介いたします。
3Dプリンターによるシリコンゴム造形の特性を紹介
3Dプリンターを使用したシリコンゴムの造形は、近年急速に発展している技術分野です。この革新的な方法は、従来の製造プロセスに比べて多くの利点をもたらします。
シリコンゴム造形の基本原理
3Dプリンターによるシリコンゴムの造形は、他の材料と比べて技術的に難しい面があります。
- シリコンゴムは粘度が非常に高い
- 加熱して押し出すことが困難
- UV光による硬化が難しい
これらの特性により、従来の3Dプリント技術では対応が困難でした。しかし、近年の技術革新により、シリコンゴムの3D造形が可能になってきています。
シリコンゴム造形の基本原理は、主に以下の3つの方法があります。
- 直接造形:専用の3Dプリンターを使用し、シリコン材料を直接積層していきます。
- 間接造形:3Dプリントした樹脂型を使用し、シリコンを注入して成形します。
- シリコンライク材料の使用:シリコンに似た特性を持つ樹脂材料を使用して3D造形を行います。
これらの方法の中で、最近注目されているのが直接造形です。例えば、海外のメーカーが開発したレジンでは、シリコン100%の部品を数時間で造形することが可能になりました。
シリコンゴムの3D造形は、プロトタイピングから少量生産、カスタム製造まで幅広い用途に活用できます。今後、技術の進歩により、さらに精度や効率が向上することが期待されています。
従来の製造方法との比較
3Dプリンターを使用したシリコンゴム造形は、従来の製造方法と比較して多くの利点があります。
複雑形状の実現
3Dプリンターでは、従来の射出成形や圧縮成形では困難だった複雑な形状や中空構造を容易に作成できます。
少量生産の効率化
金型製作が不要なため、少量生産やカスタム製品の製造コストを大幅に削減できます。
開発サイクルの短縮
プロトタイプの製作が迅速化され、設計から製品化までの時間を短縮できます。
材料ロスの削減
必要な量だけ造形するため、従来の切削加工などと比べて材料の無駄が少なくなります。
カスタマイズの容易さ
デジタルデータを元に造形するため、製品の個別カスタマイズが容易です。
従来の製造方法と比較した際の課題
- 大量生産時のコスト効率
- 表面仕上げの品質
- 材料選択の制限
製造方法の比較表
特性 | 3Dプリンター | 従来の製造方法 |
---|---|---|
複雑形状 | ◎ | △ |
少量生産 | ◎ | × |
大量生産 | △ | ◎ |
開発速度 | ◎ | △ |
カスタマイズ性 | ◎ | △ |
3Dプリンターによるシリコンゴム造形は、特に製品開発や少量生産、カスタム製品の分野で従来の製造方法を補完・代替する可能性を秘めています。
シリコンゴム造形に適した3Dプリンター技術の選び方
シリコンゴムの3D造形には、その特性に適した技術が必要です。ここでは、主に3つの方法について説明します。
液体積層造形方式
液体積層造形方式(LAM:Liquid Additive Manufacturing)は、シリコンゴムの3Dプリンティングに革新をもたらす技術です。この方式では、2種類の液状シリコンゴムを混合し、エクストルーダーで押し出しながら層状に積み上げていきます。
高精度な造形
- 積層ピッチ:0.22mm~0.9mm
- ノズル径:0.23mm、0.4mm、0.8mm
金型成形品と同等の物性
- 引張強度や伸びなどの特性が優れています
- 最終製品としての使用が可能です
複雑形状の実現
- 内部空洞や逆テーパー形状など、従来の金型成形では困難な形状を造形できます
- サポート材なしでの立体造形が可能です(当社独自の「架橋接合®」技術)
コスト削減効果
- 金型不要のため、初期投資を抑えられます
- 少量多品種生産に適しています
材料の特性
- 透明度が高く、薄い造形物では透明、厚みのある部分では乳白色に仕上がります
- 耐熱性、耐候性に優れています
LAM方式は、医療用インソールや臓器モデルなど、カスタマイズ性の高い製品の製造に特に適しています。従来のシリコン成形技術と3Dプリンティングの利点を組み合わせたこの方式は、今後さまざまな産業分野で活用が期待されています。
樹脂型を使用した間接造形法
樹脂型を使用した間接造形法は、3Dプリンターでシリコンゴム部品を製作する効果的な方法の一つです。この方法では、まず3Dプリンターを使用して樹脂製の型を作成し、その型にシリコン材料を流し込んで成形します。
利点
- 複雑な形状の部品製作が可能
- 従来の金型製作と比較して低コスト
- 少量生産やプロトタイピングに適している
- シリコン材料の選択肢が広い
プロセス
- 3DCADで型のデザインを作成
- 3Dプリンターで樹脂型を製作
- 型の後処理(サポート除去、表面仕上げなど)
- 離型剤の塗布
- シリコン材料の注入
- 硬化、脱型
- シリコン部品の仕上げ
効果的な場面
- 複数の同じ部品が必要な場合
- 材料の特性や色を自由に選択したい場合
- 表面品質や寸法精度が重要な場合
ただし、樹脂型の耐久性には限界があるため、大量生産には適していません。また、型の設計には熟練が必要で、エアトラップやバリの発生にも注意が必要です。
新興技術:直接シリコン造形
直接シリコン造形は、3Dプリンターでシリコンゴムを直接造形する革新的な技術です。この技術の代表例として、ホッティーポリマー株式会社が開発したSILICOM(シリコム)があります。
SILICOMの特徴
- 液体積層造形方式(LAM方式)を採用
- 純粋なシリコン材料を直接造形可能
- なめらかな表面性と優れた透明性を実現
- 自社開発のスライサーソフトウェアを搭載
SILICOMの利点
- 材料選択のみで最適パラメータを自動設定
- AIによる学習機能で造形品質が向上
- カートリッジ方式採用で材料交換が容易
今後の展開
- 硬度バリエーションの拡大(低~高硬度)
- カラーバリエーションの開発
項目 | 仕様 |
---|---|
販売予定価格 | 税抜15,000,000円 |
製造 | 日本国内生産 |
この技術により、シリコン造形の精度と効率が大幅に向上し、医療機器や自動車部品など幅広い産業分野での応用が期待されています。特に、日本国内生産による安定した供給体制は、グローバルサプライチェーンの混乱や円安の影響を受けにくいという利点があります。
直接シリコン造形技術は、従来のシリコン成形方法に比べ、複雑形状の実現やカスタマイズの容易さなど、多くのメリットをもたらす可能性を秘めています。
3Dプリンターの製品問い合わせはホッティーポリマー株式会社まで
ホッティーポリマー株式会社では、3Dプリンターの本体から材料素材であるフィラメントやレジン、スキャナ、3次元ソフトウェアなど、3Dプリンターを活用するために必要な全ての製品を取り扱っております。
久喜工場には、実際に取り扱っている3Dプリンターを見学できる「3Dプリンターショールーム」も設営しております。新規事業等で3Dプリンターの導入をご検討中でしたら、お気軽にお問い合わせください。
3Dプリンターのフィラメントに関連するお役立ちコラム
3Dプリンターでシリコンゴム造形ならホッティーポリマー株式会社
会社名 | ホッティーポリマー株式会社 |
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住所 | 〒131-0032 東京都墨田区東向島4丁目43−8 |
TEL | 03-3614-4100(代表) |
FAX | 03-3614-4162 |
事業内容 | ゴム・プラスチック製品の製造販売 (スポンジ製品、多色複合押出し製品、メタルインサート製品、ジョイントプレス加工、成型品) |
URL | https://www.hotty.co.jp/ |